アタマをデバッグ(リファクタリング・ウェットウェア第4章)を読んだ
我々は証明を論理によって、発見を直感によって行う。
ー アンリ・ポアンカレ
リファクタリング・ウェットウェア ―達人プログラマーの思考法と学習法
- 作者: Andy Hunt,武舎広幸,武舎るみ
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2009/04/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 25人 クリック: 475回
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知りたいこと
- 頭のバグとはなにか?
- 頭をデバッグするにはどうすればいいか?
答え
頭のバグとはなにか?
大きく以下の4つに分けられる。
- 認知バイアス(勘違い)
- 世代類似性
- 性格的傾向
- ハードウェア的なバグ
詳しくは下記。何がどれに分類されるかは言及しない。
- 主だった認知バイアス
- 根本的な帰属の誤り
- 他人の行動を人格のせいにするくせ、自分の行動は安易に言い訳する
- 結末欲求
- 疑いや不確実性が残っていると落ち着かないので、問題を解決したり結末に至ろうとする
- ヒント: 不確実性が残るということはそれだけ可能性も残るということ
- 確証バイアス
- 先入観やお気に入りに合致する事実を求める
- 人は結局見たいものだけを見ている
- 根本的な帰属の誤り
- トカゲの論理
- 文化と文明の下のレイヤーにある原始的な本能
- 思考より早くトカゲのような行動と反応が起きることがある
- 低次の認知思考過程
- その時の感情による意思決定
- 縄張り意識
- 支配欲
- 二分法的思考
- 不完全な記憶
- 思い出せないのだ
- 抽象化(シンボル化)アプローチによる欠陥
- これは脳の本質的なメカニズムである
- ex. 「80%? じゃあほぼほぼ問題はないってことね。」
- ex. 本を要約したときには必ず失われる情報、ディテールが存在する(このような記事のことだ!)
- 命名の誤り: ものに名前を付けると、それを説明できたとか理解できたと思ってしまう
- プログラミングや知識をベースとした作業には非常に有用なのだがこのアプローチには欠陥があるということを十分に注意すべし
- このアプローチに内在する欠陥をプラトンの襞という概念として「The Black Swan: The Impact of the Highly Improbable; 邦訳名 ブラック・スワン」で取り上げられている
- 単純化されたときに失われた情報が重大な盲点になり得るということ
- 人間は生来のものまね師
- 周りにいる人の態度・信条・振る舞い・感情はどれも伝染する
- 生まれた時代が違う、ただそれだけでものごとに対する考え方が全然違うということが起こり得る
- 相関と因果を混同する
- 相関しないにもかかわらず因果があると断定しがち
- 脳内では映画がリピート再生されている
- 性格タイプ、気質のようなものは存在する
- MBTI
- 内向型, 外向型など
- すべてはコンテキストに左右される
頭をデバッグするにはどうすればいいか?
何がどのバグを解決するかは言及しない。
- 人間はバグを持っていると認識する(当然、自分も)
- 多様性を受け入れる
- これはリスク分散に繋がる
- 各人さまざまなバグを持っていると認識する
- 自分に合わせて他人の気質を変えようと決してしないこと
- ジェネレーションギャップが存在することを認識する
- 不確実なことを不確実なままにするのは悪いことじゃないと認識する
- 確率に対して注意深くなる
- 80%成功は20%失敗するということ
- 記憶は不確かなのだと受け入れる
- 記録に頼る
- 「どんなに薄い墨でも最良の記憶力に勝る」中国の諺
- 心的に読み込むこと = 書き込みも行われる = 記憶に深く刻まれる
- 恐らく、ある記憶を掘り起こしてそれを心的に描画するようなイメージ
- 記録に頼る
- 即座に行動に移さない
- 高次の脳を持った人間と自覚する(われわれは「考える」)
- 深呼吸する
- 新皮質で反応をやりすごす
- 脳内で再生されている映画を作り直す
- ネガティブなものならポジティブなものに
- 自己テストする
- 自分の理解とメンタルモデルを検証するのに効果的
- 質問リスト
- どうしてそうだとわかるのか?
- 誰がそう言っているのか?
- どれだけ具体的に?
- それをしたら何が起こるのか?
- 何と比べてそうなのか?
- それはいつでもそうなるものなのか?(例外は考えられるか?)
- 挙動、所見、理論をそれぞれ正反対のものと比較対象する
- そうすることで批判的に自分を見ることができる
読書メモ
- 思考・理性は疑わしい
- 批判的に注意深く
- 絶対の確信があっても「それはなぜか?」と問う
- フィードバックがアジャイル開発の鍵
- なぜならソフトウェア開発が人間に依存するから
- その人間にはバグが存在するから
- 直感は非線形、線形フィードバックで裏をとる
- 一定の分野で達人になればなるほど自己フィードバックの能力が伸びるので、自分のメンタルモデルの検証作業が用意になる
進化した生物らしく行動しよう
一呼吸おいて、声を荒らげない
そういえば、先月くらいに読んだ「知ってるつもり -- 無知の科学」でも同じような内容について掘り下げて書かれていた。
- 作者: ナシーム・ニコラス・タレブ,望月衛
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/06/19
- メディア: ハードカバー
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- 作者: スティーブンスローマン,フィリップファーンバック,橘玲,土方奈美
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2018/04/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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