思考錯誤

すべてはどうでもよくなる

「頭の中の情報を整理をする方法」を整理してみた

デジタルでは 1 と 2 の間は削ぎ落とされているが、アナログなら 1 と 2 の間には無数のグラデーションが存在するのだ。 - pha「知の整理術」

頭の中の情報が整理できていない。そう思うことが多い。

たとえば、何か新しいことを覚えるために本を読んでも、ためになるブログ記事を読んでも、そこで得た情報は解凍できない zip ファイルのように放置されているのではないか?そんなことを考えてしまう。

なぜなら、実際に必要な場面で思い出せない、使えない、そんなことがままあるからだ。

原因はいくつか考えられるのだが、頭の中にインプットはされているが、インプットされた情報整理されずによくわからない場所に保存されている。そのため、必要な情報を取ってくるのに時間がかかりすぎて 408 Request Timeout になってしまっているというケースが濃厚だ。

これは 404 Not Found ではないと思われる。忘れた頃に時間差で思い出すなんてこともしばしばあるからだ。

そもそもインプットされていない、つまり思い出そうとしても 404 Not Found となる場合もあるだろう。これは前述の 408 Request Timeout と区別がつかないこともある。これはある情報をインプットしたという記憶は確かにあるのに、その情報が長期記憶(長期記憶貯蔵(LTS))に保存されていないということが考えられる。

なぜそういうことが起こりうるのだろうか?

脳内の Inbox 的な場所に放り込まれてはいるが、脳がその情報を重要なものだと認識できずゴミ箱に放り投げてしまっているのだろうか。

頭の中の情報が整理されているということ

下記二点をクリアしていれば頭の中の情報は整理されていると言えるのではないだろうか。

  1. 長期記憶に情報が保存されている
  2. 長期記憶に保存された情報を時間をかけずに取り出すことができる

さらにいうと、インプットするときには情報は抽象的な状態のままで良いのだが、アウトプットするときは情報は具体的な状態になっている必要がある。

これは言語化するでも図形化するでもよい。自分がその情報を「使う」ことができれば良いと思う。

ここでいう「使う」という言葉は、動かしたり、比較したり、応用することができるようなイメージだ。

頭の中の情報を整理する手法についての考察

それぞれの手法のメリットを中心に考えをまとめてみた。

書き出すこと / 書き出さないこと

書き出すことのメリット

考えていることを書き出すことで、頭の中の情報が整理されるということは有名な話である。

これは頭の中で抽象的な状態で漂っている情報を言葉や絵などにして書き出すことで、情報を具体的な形にまとめあげるようなイメージだ。

キーワードにすると、収束、具体、削ぎ落とす、集合、固体、可視化、納得、能動的などだ。

書き出さないことのメリット

頭の中の情報やそれに対する考えを抽象的なまま保つことができる。

情報を抽象的なままにしておくことで、その情報はディテールを損わずに、変化する可能性を持った状態で頭の中に留まる。答えを出すことを保留できるのだ。

キーワードは保留、可能性、分散、気体、咀嚼、混じる、開放的、変化、受動的などだろうか。

人に話すこと / 話さないこと

人に話すことのメリット

人に話すことは書き出すことと同等以上のメリットがあると考えられる。なぜなら刺激が多いからだ。

まず、人に話すためには頭の中で考えている話したいことを言語化する必要がある。この時点で書き出すことと同様に情報の具体化を行っている。

喋ると音が出る。音になったものは聴覚で聞き取ることができる。自分の声を自分で聞くことになるのだ。これは自分がその情報をどう理解しているのかを客観視することに繋がってくる。

人に何かを説明するときにジェスチャーを使う人もいるだろう。これによって身体感覚を使って微妙なディテールを表現できる。

話した相手からのフィードバックも貴重である。相手からのフィードバックは良くも悪くも刺激になるからだ。

フィードバックを聞き入れたり反論したりする。このような会話の中でまた多くの刺激が発生するのだ。

人に話さないことのメリット

人に話さないことは人に話すこととは逆に、刺激を受けることがない。刺激がないことが悪い、ということではない。

刺激を受けないので情報をピュアなままに保つことができると言える。前述の書き出さないことのメリットとも似た部分が多いだろう。

何か物事を進めるとき、誰かに話さないことで、方向転換せずに思い込みのパワーで突き進むことができるかもしれない。

これは、たとえば人に相談せずにプロジェクトは進めていって、気づいたら手遅れになっていた、などというケースにもなりうるということだ。あまりよろしいことではない。

デジタルデバイスに書き出すこと / 紙にペンで書き出すこと

デジタルデバイスに書き出すことのメリット

私の場合、PCでタイピングする速度は紙に書き出す速度の数倍早い。若い世代ならスマホフリック入力の速度は、紙に書き出すときのそれと比べて断然早いだろう。これは大きなメリットと言える。

また、使うアプリやツールによって情報を画一的な形に統一することができるのではないかと思う。

デジタルデバイスに書き出すことで、情報をデータとして扱うこともできる。

情報をデータとして扱えることは非常に便利である。ノートとペンなど持ち歩く必要はなく、スマホやPC、タブレットがあれば膨大な量のデータを閲覧したり、書き込むことができるのだ。

さらに、iPad Pro のようなハイエンドなタッチデバイスや、ペンタブ、液タブなどを使えばきっとすごいことができるはずだ。どういうことができるかは、勉強不足のためあまり分かっていないが。

とはいえ、いまのところ「頭の中の情報整理をするためのツール」という観点で見ると、紙とペンに軍配が上がるのではないかと、個人的には思っている。

デジタルデバイスにはまだまだ可能性がある。アイデアしだいで今後色々なことが実現すると思う。

紙にペンで書き出すことのメリット

デジタルデバイスを使った場合と比べて、紙とペンを使うことで人はより多くの刺激を受け取ることができる。

刺激は情報の整理にとってとても重要だ。刺激は情報同士をくっつける「のり」のような役割があると思う。そして情報を探すときの手がかりにもなる。

紙とペンが与えてくれる刺激は、使う紙とペンの種類によって様々だ。

紙の素材や手触り、紙の色、ペンの書き味、インクの色、罫線の種類などが人間の聴覚、視覚、触覚、あるいは嗅覚に刺激を与えてくれる。(味覚にも刺激を与えてくれるかも・・・)

紙とペンを使った場合、表現が非常に自由であることも大きなメリットと言えるだろう。表現が自由であるということは情報のディテールを損ないづらいということだ。

デジタルデバイスでは表現がツールに縛られてしまうので、使うツールによってはディテールが失われまくることだろう。

おわりに

余談だが、先の pha さんの引用を日常のものにたとえると、アナログ時計とデジタル時計が分かりやすいだろう。

アナログ時計はデジタル時計と比べて、「どれくらい時間が経ったか」や「あと何分で12時か」みたいなことが直感的にわかりやすいと言われている。

なんでもかんでもデジタルにすれば良いわけではない。人間の感覚をあなどってはいけない。

それでいうと、電子書籍の普及率がそこまで伸びない理由にも納得がいく。

思い返してみると、電子書籍で読んだ本はあまり記憶に残っていない・・気もする。リアルな本の場合はカバーのイメージや色の感じ、厚さなど、電子書籍と比べて様々な情報が存在するからかもしれない。

以上である。この記事を書いたことで、自分の「頭の中の情報整理」についてまとまっていなかった部分の整理が少し進んだ気がする。

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